映画 燃えよ剣 は、まさに小説「燃えよ剣」の映画化作品であった

当たり前だろ、という話だが事実そうなのである。この映画は司馬遼太郎の小説を化したものではなく、映したものだ!と強く衝撃的に感じた。


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映画「燃えよ剣」絶賛放映中

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昨晩、私はついに映画「燃えよ剣」を立川シネマシティで観賞してきた。
映画館に行くなんて実に15年ぶりである。
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それにしても・・・燃えよ剣、凄ぇ映画だった。

というわけで今回は、「燃えよ剣」がどんな凄ぇ映画だったか、感想と見所をざっくり5つの項目でまとめてみたいと思う。題して・・・・


映画「燃えよ剣」5つの “ここが凄い!”
なんつって
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ここが凄い -その1- 
小説の映化ではなく映化である

これはまさに言葉の通りである。

今回の映画「燃えよ剣」は、司馬遼太郎の小説をただ映像にしたものではなく、まさに“映画”として練り上げ、作り上げられた作品だと強く感じた。侍の格好をしたイケメン達が、小説通りに動き、剣を振るい、死に、泣かせるといった必要ノルマを達成すれば良しというアリガチなものではない。
ガチモンの本気で作られた「映画」である。
とにかくスケールがでかい。セットやロケーション、衣装、演出、なにからなにまで美しく、そして壮大である。また、日本人たる感覚に呼びかける江戸幕末の日本「らしさ」がとてもリアルな映像に落とし込まれていて、観ている者を ぐわおっ とその世界に引き込んでくる。さらに金と時間と技術をおしみなくブチ込んだような戦闘シーンの大迫力たるやとにかく圧倒されっぱなし。
これは原作を読んで思い浮かべた想像を遥かに超えるものだった。まさに超大作「映画」とはのことである。


ここが凄い -その2-
壮大かつ豪華な舞台

映画「燃えよ剣」を「映画」たらしめているものは、まさにその舞台であると思う。“その1”でも言ったように、とにかく背景が美しく、スケールがでかい。青々とした自然や、戦場となる広大な平野、美麗な建築物、これらのバックが非常に力強く幕末という舞台を盛り上げ、支えてくれている。この舞台があってこそ「映える画」すなわち「映画」としてこの世界観が出来上がり、だからこそ、まるで幕末の人々が乗り移ったかのような俳優達の芝居が生まれるのではなかろうか。

とにかく、うっわ、すっげ!やっべ!と感嘆しっぱなしあった。


ここが凄い -その3-
役者がハマまりすぎ!

とにかく俳優陣が素晴らしい。ただイケメンや話題の人を起用するなどではなく、本当に、本当っぽい人が来てしまった、という配役であった。本当にびったしハマってて見事だった。

小説から、あるいは本人が過去からやってきたんじゃないか?というくらいに、それぞれの俳優達の芝居は、まさに侍の精気に満ち満ちた雰囲気を醸し出していた。

主役 土方歳三役の岡田准一氏は、演技、アクションだけではなく、やはり圧倒的な華があり、映画全体を支配するその存在感が遺憾無く発揮されていた。

近藤勇役の鈴木亮平氏はまさにまさに近藤勇かのような、素朴さと剛気さと実直さを見せ、沖田総司役の山田涼介氏は小説からそのまま飛び出てきたかのような瑞々しい純粋さと剣のような鋭さを自然体で演じ、そして伊藤英明氏演じる芹沢賀茂の悪漢具合ときたらもう恐るべき怪演であった。

また、藤堂平助をはんにゃの金田氏、山崎丞をウーマンラッシュアワーの村本氏と、新撰組において重要な人物にお笑い芸人を充てるという、一見すれば奇をてらったかのように見える配役も実に役にハマっていて、両名の芝居は誠に堂に入った素晴らしいものだった。

個人的には、特に人物紹介されていなかったけれど「島田魁だ!」と人目で分かった島田魁が、いかにも島田魁らしい風貌でちょっと好きだった。



ここが凄い -その4-
圧巻のアクションシーン

アクション、殺陣が凄い!とにかく剣!剣!剣!剣!
刃入り乱れるアクションは、圧巻であった。その剣劇は、よくある時代劇のような華麗なものではなく、命を取るか取らるるか、ある意味本当の正しき剣の使い方を見せられているかのように苛烈で生々しい。演ずるために振るっているのではなく、相手を絶命させるために振るうかのように、まるで侍の魂が役者に憑依しているかのような迫真の殺陣であった。

私は剣術に明るくは無いし、実際に天然理心流がこの映画でしっかり天然理心流の剣として描かれていたかはわからない。しかし、試合では弱いが実戦では滅法強いと言われる天然理心流の、実戦特化した田舎剣術らしさが実によく描かれていたように思う。
原作小説でも、土方歳三は天然理心流に様々な流派のアレンジを取り入れ、独自の剣を使うという描写があったが、そういった“なり振り構わない” 荒々しく強烈な剣がこの映画では描かれていたと思う。

また、市街戦や平野で闘うシーンも凄まじい迫力で、セットやロケ地のスケールの大きさは勿論のこと、人間達の血生臭い怒気漂う空気感がこの映画の圧巻のアクションシーンを作っていた。



ここが凄い -その5-
壮絶なラストシーン

「うわ!そうきたか!」
というラストであった。
これは原田監督の哲学というか、信念めいたものを感じずにはいられなかった。

ネタバレはできないので、詳しくは言えないが原作小説とは違うラストであった。物語が改変されているというのではなく、描写の仕方が違う。これは恐らく、原作を読んだ者にとってこそ、全く予想しなかった終幕であると思う。もしかすると、原田監督は狙って原作ファンの予想を裏切るラスト描いたのでは無いかと思う。

やっぱり「映画」なのだな・・・と、思った。ビジュアルとして、最後に心を突き刺してくる。この壮絶なラストに私は衝撃を受け、その帰り道、電車に乗り、家に帰ってもなお、ずっと放心状態で、ひたすら ぼ〜〜〜〜〜〜〜っとするだけであった。

泣ける、感動する、そういったものを遥かに超えた衝撃であった。


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人には好みがあるので、とにかく無責任に「凄い感動するよ」「絶対見たほうがいいよ!」と勧めることはここでは申しませぬ。ただ一言・・・


この映画は凄いョ。 

それだけを伝えたい。

役者から制作陣に至るまで、この映画の全てが “侍” であった。
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